「もっと自分の言葉で伝えたい」「自分の想いを、ちゃんと相手に届けたい」そう願って、発信に取り組む起業家の方は多いと思います。
けれど実際には、
- 発信しても、どこか薄っぺらく感じる
- 自分の想いが、ちゃんと伝わっていない気がする
- 想いはあるのに、言葉にすると伝えきれない
そんな“モヤモヤ”に直面することも少なくありません。
その原因のひとつが、「言葉の定義」があいまいなまま使っていることにあります。
たとえば、「自由」や「サポート」など、起業家がよく使う言葉。実は、人によってその意味は少しずつ違っています。
だからこそ、自分にとっての「その言葉の意味」を定義づけておくことは、発信にも、ブランディングにも、とても大きな効果があるのです。
今回は、私自身の経験や事例も交えながら、なぜ「言葉の定義」がビジネスを変えるのか?その3つの理由をお届けします。
【理由1】言葉の定義が、あなたのブランディングの“核”になる

こんにちは!溝端マリです。ブランディングをテーマに、起業家や事業主様の世界観づくり・ファンづくりをサポートしています。
百貨店の販売促進という、催しやイベントを企画する部署に15年勤務していましたが、私にとって百貨店とは、ずっと「夢を売る場所」でした。
上司や先輩にそう言われたわけではありません。私自身が、子どもの頃からそう感じていたんです。
母が連れて行ってくれた「大丸」は、日常のお買い物の場所。そこでは、子どもが自由に選べるような雰囲気ではなく、私はただ母の買い物に付き添うだけ。
でも、母方の祖母がたまに連れて行ってくれた「そごう」は違いました。
何を手に取っても否定されることはなく、祖母はいつも優しく「それがいいの?」と聞いてくれました。
お菓子だったり、時には洋服だったり。そんな「そごう」は、私にとって“キラキラした特別な場所”だったのです。
今でも覚えているのが、うずまき状のペロペロキャンディー。水色と白のシマシマ模様、透明なセロハンに包まれてリボンがついていた、大きなアメ。
アニメで見たそのままの可愛さで、スーパーでは見たことのない特別なお菓子でした。
この経験が、「百貨店=夢を売る場所」という私なりの定義につながっています。
そしてこの定義が、百貨店で働いていた私の企画や表現の軸となり、自然と“どんな提案をしたいか”が明確になっていきました。
起業家としてのブランディングも、実は同じ。
「自分にとって○○とは何か?」という“言葉の定義”を持っていると、提供するサービスや発信、選ぶ言葉にブレがなくなります。
それは、目に見えないけれど、とても大切な“核”になるのです。
だから、私にとってのデパートは、子供の頃から「夢を売る場所」。百貨店を「夢を売る場所」と定義づけしていたのです。
【理由2】言葉を定義することで、発信に“芯”が通る

私は、起業してしばらくの間、ずっと「自由な働き方を叶えたい」と発信していました。
けれど、ある時ふと立ち止まって思ったんです。
「私にとって“自由”って、どういう意味だろう?」
その時出てきたのは、「やりたくないことを手放して、やりたいことに集中できる状態」でした。
それまでは、「自由=働く時間を減らす」と思っていたけれど、本当のところは「仕事をセーブすること」ではなく、“やらなくていいことをやめられる”という、自分の基準で生きられる感覚だったのです。
この定義がはっきりしたことで、発信する言葉も変わりましたし、伝えたいことがよりシンプルになっていきました。
「自由」「サポート」「応援」「整える」など、起業家がよく使う言葉こそ、その人にとっての“意味”を定義することで、発信に芯が通り、ブランディングにも深みが出てきます。
「そもそも誰に届けたいのか?」という視点から見直したい方は、ペルソナとターゲットの違い。女性起業家のための“響く発信”のつくり方 も合わせてご覧ください。

【理由3】「伝わる言葉」が、理想のお客様との関係を育ててくれる

言葉の定義ができてくると、発信のなかに「世界観」が生まれてきます。
それは、自分が無理をして作り込んだものではなく、自然ににじみ出るもの。
そしてその世界観に共感した人が、「この人の言葉、なんだか好きだな」「この人にサポートしてもらいたい」と感じて、あなたの発信にふと立ち止まってくれるようになります。
つまり、あなたの言葉に“意味”が込められているかどうかが、理想のお客様との出会い方にも、大きな影響を与えるのです。
表面的な言葉ではなく、自分自身の経験や想いから紡がれた「定義された言葉」は、受け取った人の心に残ります。
ブランディングとは、「こう見せたい」ではなく、「こういう想いを持っている人なんだ」と、自然と伝わっていくプロセス。
あなたの言葉に定義があるだけで、信頼も関係性も、少しずつ育っていくのです。
さいごに。あなたの言葉に、どんな意味を込めていますか?

ビジネスや発信がうまくいかないと感じるとき。
ノウハウやスキル以前に、「そもそも自分は何を伝えたいのか?」という根っこの部分が、あいまいになっていることがあります。
その根っこを見つけるヒントになるのが、言葉の定義です。
あなたがいつも使っている言葉に、あなた自身の体験や価値観からくる“意味”を与えてあげるだけで、伝わり方も、出会う人も、そしてビジネスの方向性も、少しずつ変わっていきます。
私のビジネスのテーマは「ブランディング」です。
そして、私にとって「ブランディング」とは、自分らしい働き方・自分らしい生き方を手に入れるための手段だと定義しています。
この“自分なりの定義”があることで、発信もサービス設計もブレにくくなり、自然と理想のお客様とのご縁が生まれていきます。
定義とは、「こうあるべき」と縛るものではありません。
あなた自身が、人生やビジネスを通して見つけていく“言葉の輪郭”のようなもの。
今、あなたが何気なく使っている言葉たち。それらに、どんな想いや背景があるのか。少し立ち止まって、問いかけてみてくださいね。
溝端マリ